真菌感染症とは、カンジダという菌によっておこる感染症です。尿道炎、膣炎、カンジダ症などから水虫、白癬といった皮膚感染症も真菌によるものです。
現代では、細菌による感染症が減少したものの、真菌感染症は年々増加しているそうです。真菌感染症の薬は長期間の服用が必要なため、副作用の心配もあります。そこで注目されているのが、にんにくの抗真菌作用なのです。
にんにくの抗真菌効果について
にんにくには抗真菌薬と同等以上の効き目があることが研究によって証明されています。
特にカンジダ菌の治療の場合においては、にんにくの汁を飲むとすぐにカンジダ菌を殺し、消化器内で吸収されにくいと言われるカンジシディンなどの薬に比べると、ずっと早く効くと言われています。
アメリカではカンジダ感染症の最も頼れる自然療法として、多くの医者がにんにくの摂取をすすめているそうです。また、皮膚の真菌症についても、にんにくは効果があることが証明されています。
オーストラリアのメディカル誌によると、医者の娘が野良猫による皮膚感染症にかかり、その娘の片方の腕にはにんにくの液をぬり、もう片方の腕には薬をぬって治療をしたところ、にんにくで治療した腕は10日で治り、薬で治療した腕は4週間もかかったと報告されています。
にんにくの何が効くの?
にんにくの成分の中の何が感染症の治療に効果があるかを調べると、次の様な3つの結果が得られたそうです。
- 生の汁や潰した生のにんにくを使った治療方法が効果が大きい。
- にんにくエキスは沸騰させたり煮詰めると治療効果が薄れる。
- 時間を経過したにんにくのエキスは治療効果が薄れる。
この3つの事柄から新鮮なにんにくの汁や潰したものにはアリシンが多く含まれ、時間が経過したり、煮炊きするとアリシンが蒸発したり硫黄化合物に変化するということが解明されました。このことから抗感染成分はアリシンであることが分かり、その後の研究でカンジダ菌を殺した成分を分離分析して、抗感染成分がアリシンであることが裏付けられました。
水虫にもにんにくは効くの?
水虫人口は年々増える傾向にあるようです。
にんにく含まれるアリシンには殺菌、抗菌、消炎作用があるので、皮膚感染症の一つである水虫の白癬菌というカビを退治する効果があります。実際、古くからにんにくは水虫の民間治療薬として用いられてきました。足の指のまたが、かゆかったり皮がむける程度の初期の水虫は、にんにくのしぼり汁を薄めて患部にぬると効果があるようです。
また、にんにくのしぼり汁を入れたぬるま湯に10分ほど足をつけておくのもよいようです。しかし、ジュクジュクしていたり傷になって血が出ているような悪化した水虫の場合は、化膿や炎症の危険を伴うので、皮膚科を受診して徹底的に治療した方がよさそうです。
にんにくを塗り薬や飲み薬として生のまま真菌感染症に用いる場合は、体に合わないこともあるので、いきなり原液で治療をせずに薄めて用い、様子を見ながら試すようにしましょう。