食中毒とは
衛生管理の行き届いた日本でも湿度の高い時期や暑い季節には、海産物や肉類の生食もしくは加熱不十分を原因として食中毒が起こることがあります。
食中毒とは細菌やウイルス、寄生虫、有害な化学物質や毒素などが体内に入り、一定の潜伏期間を経たのちに活動によっておう吐や発熱、腹痛、下痢、その他の症状を引き起こすことです。一時期流行したO157として知られている腸管出血性大腸菌は3-5日潜伏したのちに大腸の粘膜を破壊して水分吸収を阻害したり、血管を破壊して出血を引き起こす非常に強力な菌です。場合によっては死の危険さえもある食中毒は決して軽く見ることのできない病状です。
その他にも細菌ではサルモネラ菌、カンピロバクター菌、ボツリヌス菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌などがあります。ウイルスはノロウイルスやE型肝炎ウイルスなどがあります。毒物には毒キノコやフグの毒、化学物質はヒスタミンやアミンなどが挙げられます。
にんにくの食中毒への研究結果
さまざまな研究の結果にんにくの成分アリシンや加熱したのちに化学反応して変化したアホエン、ジアリルスルフィドやS-アリルシステインなどの硫黄化合物は食中毒の原因となる物質に対して高い殺菌作用があり、感染して体内で発症するのを予防することがわかっています。
例えばアリメカイリノイ工科大学の研究結果ではにんにくのアリシンにはO157(腸管出血大腸菌)に対して殺菌効果が見られたことを報告していますし、2012年のUS抗菌化学療法ジャーナルオンライン版によるとにんにくの成分がカンピロバクター菌に有効であることが発表されています。
さらにはにんにくの成分硫化ジアリルとカンピロバクター菌の抗生物質の効果を比較実験したところ、硫化ジアリルを投与してカンピロバクター菌の細胞が死亡した濃度は抗生物質よりも100倍以上もの濃度であったことから、にんにくには抗生物質の100倍もの殺菌作用があることが発見されました。
食品を摂る際には一定時間以上加熱して食べることが食中毒予防に最適ですが、生で食べる時にはにんにくを一緒に摂ることで殺菌できます。
実際にかつおの刺身や馬刺しなどを食べるときに生のにんにくをすりおろして添えることがよくあります。食中毒を予防するために昔から取り入れられている食べ方といえます。
このように生のにんにくには強力な殺菌効果があるのですが、生にんにくは刺激も強く、胃壁を荒らすこともあるので食べ過ぎや空腹時の摂取に注意が必要です。
にんにくは加熱するとよりマイルドになると同時に殺菌効果も持続しますから、じっくりと低温で過熱したにんにくを食べるのもお勧めです。