にんにくの原産地
にんにくとはユリ科ネギ属の多年草植物で主に球根を食用としています。
原産地は中央アジア(現在のキルギス共和国辺り)と言われていますが、西暦前4000年頃にはすでにエジプトで栽培利用されていたことがピラミッドの遺跡発掘によりわかっています。
古代エジプト文明とにんにく
古代エジプト文明では実際にピラミッドを建造した労働者たちがにんにくを食して肉体疲労を回復していたと言われています。
すべて人手による作業で石を切り、運び、積み重ねていった当時のエジプトでは、ピラミッド建設は多大の労働力を要した仕事であると同時に危険な作業でもありました。それで、滋養強壮剤としてだけでなく、外傷の治療や腹痛の際の薬としてもにんにくを食べていたと考えられています。
旧約聖書の中にもにんにくがエジプトで食されていたことが分かる記述がみられます。
民数記11章5節によると、モーセの指導のもとエジプトを脱出したイスラエル人たちが荒野でさまよっている時にエジプトの奴隷時代を懐かしみ「エジプトでただで食べていた魚を、きゅうりやスイカやニラや玉ねぎやにんにくを思い出すではないか」と述べています。
そして絶世の美女といわれるエジプトの王妃クレオパトラもその美貌を保つためににんにくを食べていたようです。
メソポタミア文明とにんにく
メソポタミア文明発祥の地、チグリス・ユーフラテス川流域でもその肥沃な土地を利用してにんにくが育てられていたようです。西暦前600年頃、新バビロニア王国のネブカドネザル二世が愛妻アミティスのために作らせたとされる空中庭園。
その庭園ではにんにくの栽培がなされていたという記述のある粘土板が、帝国の首都であったバビロンの遺跡発掘により発見されています。バビロンの医師たちはにんにくを病気や外傷の治療に利用していたこともわかっています。
その他の古代文明とにんにく
西暦1世紀頃の古代ローマ帝国では咳止めや寄生虫の駆除、急性疾患の治療薬ににんにくが用いられていた記録があります。古代中国文明では「漢」の頃、シルクロードを通って外交使節を西域に送った際ににんにくが持ち込まれたとされています。
古代インドの有名な医学書「アーユルベーダ」にも心臓や呼吸器、消化器官に対するにんにくの薬効が記載されており、薬として利用されていたことが分かります。
このようににんにくは古くから美容、健康、滋養強壮や薬として用いられ、食されてきているのです。