優れた栄養価を誇る食材でも、調理法によってはその栄養価が半減してしまうというような話はよく耳にするものです。
そうなってしまわないように、加熱せず食べられるものであればそのまま食べたり、あるいは加熱時間を短くしたりといった工夫をしているわけですが、「にんにく」の場合、その栄養価が調理法によって損なわれるということはあるのでしょうか。
「アリイン」を「アリシン」に変化させるためには
にんにくがもたらす効果は、アリシンの効果であると言えるほど、硫黄化合物のひとつであるアリシンに期待できる効果には素晴らしいものがあります。しかしそんなアリシンも、実は最初からにんにくに含まれているわけではありません。
にんにくに元々備わっている「アリイン」が「アリシン」へと変化することで、アリシンの効果を得ることができるのです。
その変化もすべての場合に起きるというわけではなく、にんにくを刻んだりすりおろしたりという調理過程を経てアリシンへと変化します。したがってにんにくの栄養価を高めていくためには、何もせずに食すのではなく、まずは刻んだりすりおろしたりというような手を加えていくことが重要になります。
刻んですぐに食べないほうがいい?
上記のようににんにくに手を加えた後は、何となく「すぐに食べないと栄養価が半減してしまう」というイメージがありますが、にんにくの場合はそうではありません。
アリシンへと変化した後、時間の経過によってアリシンはさらなる変化を遂げます。それによって、「血液サラサラ効果」や「疲労回復効果」といった、アリシン自体にはあまり備わっていない、あるいはアリシン自体には期待できない効果がもたらされるようになるのです。
ですからもし時間があれば、切るなり擦るなりしたにんにくは、そのまま10分程度置いておいた後で食べるようにしたほうがより多くの効果を期待できるようになるというわけです。
にんにくは加熱したほうがお腹に優しい
にんにくは胃腸への刺激が強い食材でもありますから、もしその刺激が気になるようなら加熱をして召し上がられることをオススメします。
加熱をするとにんにくが持つ効果がまったくなくなるというわけではありませんから、栄養価を気にしている場合でも加熱調理をしていただけます。
食材によっては、調理過程に気を使わないとその栄養素があまり意味を成さなくなってしまうというケースもありますが、にんにくであれば上記のように「切る・すりおろす」という工程を挟んで少し時間を置くだけでOKですので、これもにんにくの魅力的な部分と言えそうです。