にんにくの酢漬けが中国で食べられるようになった由来

中国の安徽省でにんにくの酢漬けが名産になったのは?

中国

にんにくの酢漬けは中国で知られているにんにくの保存料理であり、中国各地の各家庭でよく作られています。中国にはいろいろな昔からの言い伝えがありますが、その中の一つににんにくの酢漬けのお話があるのです。

上海の西側に位置する安徽省、そのとある田舎に毫州(ハオジョウ)というにんにくの名産地があります。辺り一帯はどの村も町もみんながにんにくを作っています。この地域のにんにくは観堂にんにくというブランドで中国でもトップクラスの高い品質を誇っており、1700年以上もの歴史があります。

もちろん、にんにくを栽培しているだけではありません。町人も村人もみんなにんにくが大好きなのです。にんにくはこの地域一帯で、なくてはならない生活の一部となっています。生のにんにくを食べるのはもちろん、にんにくの酢漬け、黒酢漬けも各家庭で当然のように作れられています。にんにくや、にんにくの酢漬けは昔から村人たちにとってはかかせない薬であり、虫退治(中国ではおなかに虫がいることが多い)になっているのです。

 

この村のにんにく歴史はいつから始まったのでしょうか?

馬車

昔々、この村で医者をしているホアルンは道を歩いて往診に出かけている途中で馬車に出くわしました。馬車には病人が乗っており、苦しみもがいている様子で、

もう死んでしまう!

と叫んでいるのが聞こえてきました。

通りすがりではあるもののその声を聞いた医者のホアルンは、馬車の手綱を引いている人に

馬車から死んでしまうとうめく声が聞こえてきたけど、君は病人をどこに連れて行くつもりなのか?

と尋ねました。

お医者さんなのですね、この症状はなんとかなるでしょうか?病人はは私の兄なのですが、突然にこのような状態になりどうしてよいかわからないのです。ぜひ診てもらえないでしょうか?

という返事を聞き、医者は、

そうだったのですね、ところでどこの具合が悪いのですか?

と尋ね返すと、馬車の手綱を引いていた病人の兄は言いました。

それがわからないのです。突然胸が苦しいと言い出してのどを詰まらせ、その後ご飯がのどを通らなくなった次第です。先ほども苦しがってうめき、もうダメだと叫んでいたところです

それで医者は顔色を見つつ脈をはかりながらその苦しみもだえている様子を見て言いました。

この病はじつにひどい。この道沿いの家の人達を訪ねて、彼らの家に酢があるかどうか尋ねてきなさい。だれか酢をもっていたらすぐに持ってくるように。私はこの道端でにんにくがないか探して土を掘ってみるから。にんにくと酢があれば病人はきっと良くなることでしょう。もし道沿いの家の人達みなが酢をもってないというなら、どこかお店を探して急いで買ってきなさい!

言い終えるとお医者さんはすぐに道端ににんにくがないかを探しはじめ、病人の兄は酢を探しに家々を訪ね始めました。幸いにも近くに酢を売っているお店があり、兄はすぐに買ってこれました。

お医者さんもすぐににんにくを掘りあてることができたので、そのにんにくをすりつぶし、酢と混ぜて糊状のようにねっとりとさせたものをすぐに病人に飲ませました。するとそれほど時が立たないうちに病人のおなかがゴロゴロと鳴り始め、吐き気を催して、大きな虫を何匹も吐き出したのです。何十センチもある虫がおなかから吐き出されたので、病人は胸のつかえが取れ、その後すっかり良くなったのでした。

病人とその兄の二人は家に帰った後、会う人会う人ににんにく酢を飲んでおなかの虫を退治したという自分の体験談を話しました。10人に伝わり、それがまた伝わって100人に広がり、あっという間にその地域一体に広がりました。それからというものこの地域の人々はよくにんにくを食べるようになっていったというわけです。

にんにくの酢漬けは作り置きできて便利なだけでなく、漬け込むことで生にんにく独特の辛みが減ってより食べやすい味になるので、多くの人にどんどん好かれていきました。またにんにくの酢漬けはおなかの虫退治をするだけでなく消化を助ける働きもしてくれます。この昔話が現代にまで伝えられ続け、今では有名なにんにくの産地であるとともににんにくの酢漬けが地域中で作られ食されているのです。

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