にんにくの効果・効能の中で一番注目されているのはにんにくのがん抑制効果だといわれています。
にんにくに関するがんの研究
もともと古代文明から薬用としてもちいられてきたにんにくですが、20世紀以降の研究で現代病の一つであり先進国では死因の第一位を占めているがん細胞に対してにんにくが効果を発揮することがわかっています。
1950年代にはアメリカのケースウェスタンリザーブ大学の研究によりにんにくの抗腫瘍作用が発表されています。また1990年代にアメリカ国立がん研究所が中心となって研究が行われたデザイナーフーズ・プロジェクトでは127種類の野菜を研究した結果にんにくはがんの危険性を減らす食品の第一位に選ばれています。
さらに近年の様々な研究の結果をみると、にんにくを多く摂取した人のほうが胃がん、結腸癌、すい臓がん、食道がん、そして乳がんに効果を発揮することが確認され、にんにくの成分を使って薬やサプリメントを作りがんの予防をしようという製品開発も手掛けられています。
がんに効果のあるにんにくの成分-ジアリルトリスルフィド
にんにくに含まれている成分の一つにアリシンがあります。この成分はにんにくを切り細胞に傷がつくと酵素の働きでアリシンやその他のイオウ化合物に変化します。アリシンはさらに低温で加熱したり、オリーブオイルなどの油に溶けだすとさらに分解されジアリルトリスルフィドという成分に変化します。
このジアリルトリスルフィドに非常に高い抗酸化作用があり、免疫力を高め、がん細胞が増殖するのを抑えたり、減少させたりする効果があるといわれています。がんの治療に使われている薬には大きな副作用を伴うものが多いのですが、にんにくの成分を応用することでより副作用の少ない治療法も開発されつつあるとのことです。
にんにくをがん予防のために利用するなら
がん予防のためににんにくを摂取する場合には、にんにくの成分の中でもジアリルトリスルフィドを発生させることが必要です。にんにくの成分アリシンが変化したイオウ化合物は非常に不安定で、調理法によっていろいろな種類のイオウ化合物に変化してしまいますから、がんの予防のために用いる場合には低温でにんにくを油に溶かしたりバターに溶かし出したガーリックオイルやガーリックバターを摂取するのが一番効果を発揮するでしょう。
がん細胞に直接働きかけるわけではないにしても、にんにくの成分の中のS-アリルシステインは肝臓に働きかけて代謝、解毒作用を高めたり、免疫力を高めることでがん細胞が発生するのを防ぎます。またにんにくに含まれているその他のイオウ化合物やポリフェノール類、ビタミンEにも高い抗酸化作用があり、活性酸素を除去することで間接的にがん予防をすることができます。
にんにくの効果がすごいとはいってもやはりにんにくを食べているだけで必ずがん予防ができるわけではありません。日頃からの規則正しい生活習慣、質の良い睡眠や栄養のバランスの良い食事、上手に精神的ストレスを解消する方法を持つことなどによって“がん”をしっかり予防しましょう。