行者にんにくって何?
みなさんは「行者にんにく」をご存知でしょうか。行者にんにくとは、にんにくと同様ユリ科ネギ属であり、近畿から北に北海道まで分布している多年草です。行者“にんにく”とは言うものの、見た目はにんにくのように球体ではなく、短めのネギのような見た目をしています。
またこの「行者にんにく」という名前の由来ですが、これには行者にんにくが発見される場所が関係しています。東北より南に行きますと、行者にんにくは高山でのみ発見されるため、
行者(~の修行を行なう者の意)が食すにんにく
ということで、その名が付けられるようになったと言われています。
行者にんにくの天然ものは少なくなっている
行者にんにくは、成長速度がとても遅い多年草でもあります。「芽が出るのは種まきから2年めの春」というように、非常に緩やかな速度で成長していくのです。こういった植物としての特徴や乱獲の被害などの影響で、近年では天然の行者にんにくの数がかなり少なくなっています。
行者にんにくの栽培技術自体は確立されているため、栽培されたものであれば市場で手に入れることができますが、天然ものとなるとそれを見つけることも難しくなっているのが現状です。
そんな希少性の高い行者にんにくを守るためにも、採取する場合は以下のポイントに注意するようにしましょう。
- 行者にんにくの株を守るために、「葉が2枚になっているものだけを採取すること」。1枚葉の行者にんにくを採取すればその株の命は失われ、3枚葉の行者にんにくは種を落とすことで他の行者にんにくの生育を促すため、採ってはならない。
- 根こそぎ採ってはいけない。根元から2~3cm程度茎を残すこと。
- 1ヶ所からの最大採取量はその3分の1。
- 採取しすぎたと思ったら、翌年は採取しないようにする。
- 採取後は、周りの他の植物を少し引っこ抜いておく。
行者にんにくの産地として有名なのは?
行者にんにくの産地として特に有名なのが「北海道」です。地域によっては、行者にんにくにあまり馴染みがない場合もありますが、北海道において行者にんにくというのは山菜の一種として広く知られた存在です。
市場に出回っている行者にんにくの多くは北海道産ですが、最近では東北や長野県などにも生産者がおり、産地が増加傾向にあります。
もし行者にんにくを手に入れることがあれば、醤油漬けや炒め物などで味わってみてください。行者にんにくを醤油漬けにすることで保存性もよくなりますし、また炒め物では豚肉との相性がバツグンなので是非試してみてはいかがでしょうか。