食事療法の一環としてにんにくを取り入れる
糖尿病治療の基本のひとつであるのが「食事療法」です。糖尿病と診断された方やその予備軍の方の場合、1日の摂取カロリーが多すぎるというケースが目立つので、糖尿病の食事療法でまず言われるのが1日の摂取カロリーが1,600kalを超えないようにコントロールするというものです。
ですが、ただ単に摂取カロリーをコントロールするだけでなく、栄養バランスの取れた食事をするということも糖尿病の食事療法では大切になってきます。そのために、今まで以上に多くの食品を摂取するようになるわけですが、そんな中で注目してほしいのが「にんにく」です。
にんにくは、みなさんもご存知のようにスタミナ食材としてよく知られていますが、にんにくには糖代謝を促進する働きや、インスリン分泌を促進する働きもあるとされ、こういった点から糖尿病の予防や改善ににんにくがオススメと言われています。
にんにくによって糖代謝が促進されるメカニズム
糖代謝とは、糖からエネルギーへの変換を指します。その変換が行われるにあたっては、さまざまな物質が必要となります。その物質のひとつが「ビタミンB1」なのですが、ビタミンB1は糖代謝において不足しやすい物質でもあります。
そのビタミンB1の体内への吸収率をアップさせる特長を持っているのが「にんにく」なのです。にんにくの成分であるアリシンとビタミンB1とが結びつくことにより、アリチアミンという化合物が生み出されます。
このアリチアミンは脂溶性のビタミンB1でもあり、加熱してもその栄養素が失われにくいという特長があります。つまり、にんにくを摂取することによって、強いビタミンB1を体内にとどめておくことができるため、糖代謝の促進へとつながるということになります。
にんにくによってインスリン代謝が促進されるメカニズム
近年の研究によって、インスリン分泌には亜鉛が密接に関係していることが判明しました。ですから亜鉛が不足すれば、インスリン分泌が低下してしまいます。
にんにくは亜鉛を含む食品でもあるので、亜鉛不足の解消にも心強い食品です。
さらにその一方で、上記のアリチアミンとビタミンB6とが結びつくことにより、インスリンを生み出すβ細胞の働きを活発化させることもできるとされています。
ただこのような効果はあくまでも限定的なもので、にんにくだけで糖尿病の予防や改善が実現されるというわけではありません。にんにくだけに頼ることなく、栄養バランスの取れた食事で食事療法や運動療法などを行っていくことが、糖尿病予防・糖尿病改善には大切になるのではないでしょうか。